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2014年12月25日

「障害」か「障がい」か

福祉関係の原稿で言葉の表記に迷うもののひとつに、「障害」「障がい」があります。
大阪府は何年か前に「障がい」に統一し、他の自治体や団体も同様の決定をしたところもあります。
内閣府の「障がい者制度改革推進会議」は「障がい」でしたが、その後できた「障害者総合支援法」は「障害」です。

調べていると、「障害」「障がい」と、もうひとつ「障碍」も加えて、丁寧な検討がなされた資料に当たりました。

内閣府・障がい者制度改革推進会議資料「「障害」の表記に関する検討結果について」2010年
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_26/pdf/s2.pdf#search='%E9%9A%9C%E5%AE%B3+%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84'

この資料からも思いましたが、表現の奥にある本当に考えないといけないポイントは、おそらくは、「障害がどこにあると見るのか」ということではないかと思います。
社会で生きる上での不都合になる要素として、個人の身体や内面が有する特性自体が「障害」だと見るのか。
それとも、社会の側が、ある個人の特性にはフィットせずそのような個人が生きづらくなるような「障害」を抱えているのか。

私は障害者ではありませんが、たとえばひとりでベビーカーを押して外出していた時に階段しかないような場所は、行動に差しさわりがありました。それは別に遊びに行くとかだけではなく、食べるための買い物とか、病院とかの用事だってあるわけです。その時に「自分で歩けない乳児は、歩けないという障害があるんだから行動が制限されるんだ」という頭で見られると、ちょっと腹立ちます。「障害だなんて言わないでよ」と思うでしょう。でも、「今の社会の環境ではいろいろな障害があって、歩けない子ども連れだと行動しづらい」という見方だったら、同じ「障害」という言葉でも、「そんな障害がある社会だったら生きづらい人がいるんだから、変えていこう」という、人間重視の前向きな意味を含むのではないでしょうか。

そう考えると、「障害」か「障がい」かという表記の問題というよりも、障害を語るときに「障害がどこに属するものと考えているか」のほうが、ずっと重要な気がします。

ただ、現に当事者が「害」という漢字が使われるのが不快だという声が大きいなら、言い換えも検討されてしかるべきかもしれません。

編集という仕事をする上での個人的な結論としては、表記自体は今のところどちらでもいい、と考えます。いろいろな見方が混在している状況なので、制度・法律名などは原典に従うとしても、基本的には書き手の方針に従ったうえでの統一というので良いのではないでしょうか。


posted by labohan at 10:54 | 原稿執筆、原稿整理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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